建設業許可が取消しになる10の理由

建設業許可取消し

建設業許可の取消しとは

建設業許可を取得している方は500万円以上の工事を請け負う事が出来ますよね。しかし、建設業許可を取り消されてしまうと、それらの工事が請け負えなくなるだけでなく、今後5年間、新たに建設業許可を取得する事ができなくなります。建設業許可の取消しをされてしまうと不利益の大きさが分かると思います。

建設業許可取消しになるケース

建設業許可の取消しになるケースは建設業法第29条に書かれています。ネットで検索して見てみると分かりますが、長文でとても分かりにくいです。条文を引きながら正しい情報で説明いたします。

建設業法第29条

国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。

経営業務の管理責任者と専任技術者の基準を満たさなくなった

建設業法第29条第1号

一般建設業の許可を受けた建設業者にあつては第七条第一号又は第二号、特定建設業者にあつては同条第一号又は第十五条第二号に掲げる基準を満たさなくなつた場合

建設業法第7条第1号

建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。

建設業法第7条第2号

その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。第二十六条の七第一項第二号ロにおいて同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。同号ロにおいて同じ。)若しくは高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。同号ロにおいて同じ。)を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
建設業許可を取得する際に経営業務の管理責任者と専任技術者を申請したと思います。これらの人材が辞めたりすると建設業許可が取り消されてしまいます。すぐに何らかの手を打つようにしましょう。

欠格要件に該当する場合

建設業法第29条第2号

第八条第一号又は第七号から第十四号まで(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至つた場合

建設業法第8条第1号

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

建設業法第7号~14号

七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
九 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十四号において「暴力団員等」という。)
十 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
十一 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの
十二 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
十三 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者
建設業許可を申請する時に破産していなかったが、諸事情により破産することになった場合は建設業許可が取り消されます。他にも成年被後見人や被保佐人などになると同じく許可が取り消されます。

許可換えがあった場合

建設業法第29条第3号

第九条第一項各号(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当する場合(第十七条の二第一項から第三項まで又は第十七条の三第四項の規定により他の建設業者の地位を承継したことにより第九条第一項第三号(第十七条において準用する場合を含む。)に該当する場合を除く。)において一般建設業の許可又は特定建設業の許可を受けないとき。

建設業法第9条第1項

許可に係る建設業者が許可を受けた後次の各号のいずれかに該当して引き続き許可を受けた建設業を営もうとする場合(第十七条の二第一項から第三項まで又は第十七条の三第四項の規定により他の建設業者の地位を承継したことにより第三号に該当して引き続き許可を受けた建設業を営もうとする場合を除く。)において、第三条第一項の規定により国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けたときは、その者に係る従前の国土交通大臣又は都道府県知事の許可は、その効力を失う。

 

一 国土交通大臣の許可を受けた者が一の都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなつたとき。
二 都道府県知事の許可を受けた者が当該都道府県の区域内における営業所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に営業所を設置することとなつたとき。
三 都道府県知事の許可を受けた者が二以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなつたとき。
大臣許可から知事許可に変更しなければならない場合や、知事許可から大臣許可に変更しなければならない場合は申請しなおさなければなりません。それを怠った場合は許可が取り消されます。

営業していない場合

建設業法第29条第4号

許可を受けてから一年以内に営業を開始せず、又は引き続いて一年以上営業を休止した場合

許可を受けたのに1年以内に営業しないし、一年以上休業した場合は取り消されます。こんな人いるの?と思いますが・・・(笑)仮にいたとしても、取り消されてもどうでもいいという感じでしょうね。

廃業届を出していない場合

建設業法第29条第5号

第十二条各号(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至つた場合
建設業法第12条
許可に係る建設業者が次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、三十日以内に、国土交通大臣又は都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
一 許可に係る建設業者が死亡したとき(第十七条の三第一項に規定する相続人が同項の認可の申請をしなかつたときに限る。)は、その相続人
二 法人が合併により消滅したとき(当該消滅までに、合併後存続し、又は合併により設立される法人について第十七条の二第二項の認可がされなかつたときに限る。)は、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)であつた者
三 法人が破産手続開始の決定により解散したときは、その破産管財人
四 法人が合併又は破産手続開始の決定以外の事由により解散したときは、その清算人
五 許可を受けた建設業を廃止したとき(第十七条の二第一項又は第三項の認可を受けたときを除く。)は、当該許可に係る建設業者であつた個人又は当該許可に係る建設業者であつた法人の役員
許可に係る人が亡くなったり、合併吸収されたりすると廃業届を出さなければ許可取り消しになってしまいます。どっちにしても廃業だからいいじゃんと思うかもしませんが、許可取り消しになってしまうと5年間許可を取ることができなくなってしまいます。廃業届は出すようにしましょう。

相続人への不許可

建設業法第29条第6号

死亡した場合において第十七条の三第一項の認可をしない旨の処分があつたとき。

建設業法第17条の3第1項

建設業者が死亡した場合において、当該建設業者(以下この条において「被相続人」という。)の相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により被相続人の営んでいた建設業の全部を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下この条において単に「相続人」という。)が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営もうとするとき(被相続人が一般建設業の許可を受けていた場合にあつては相続人が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、被相続人が特定建設業の許可を受けていた場合にあつては相続人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)は、その相続人は、国土交通省令で定めるところにより、被相続人の死亡後三十日以内に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に申請して、その認可を受けなければならない。

一 被相続人が国土交通大臣の許可を受けていたとき 国土交通大臣
二 被相続人が都道府県知事の許可を受けていたとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ 相続人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ 相続人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
例えば、親が建設業を営んでおり、亡くなったので、子がその事業を承継するケースですね。当たり前ですが、親に対して建設業許可が下りているわけで、子に対して下りているわけではありません。なので、場合よっては申請しても取り消されることになるということです。

不正行為によって許可を取った場合

建設業法第29条第7号

不正の手段により第三条第一項の許可(同条第三項の許可の更新を含む。)又は第十七条の二第一項から第三項まで若しくは第十七条の三第一項の認可を受けた場合

細かい説明は省きますが不正の手段をするなということですね。

違反行為の重大さと違反行為の繰り返し

建設業法第29条第8号

前条第一項各号のいずれかに該当し情状特に重い場合又は同条第三項若しくは第五項の規定による営業の停止の処分に違反した場合

前条第一項各号には支持及び営業の停止が列挙されています。例えば2号には「建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき。」と書いてあり、これらがあまりにも悪質であれば取消しされる可能性もありますし、営業停止ということになるかもしれません。また、営業停止になったのにもかかわらず営業していなたら許可取り消しますよということです。

許可の条件に違反

建設業法第29条第2項

国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第三条の二第一項の規定により付された条件に違反したときは、当該建設業者の許可を取り消すことができる。

建設業法第3条の2

国土交通大臣又は都道府県知事は、前条第一項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。

国土交通大臣や知事は許可に条件を付けたり、変更したりすることができます。もちろん、無理難題を押し付けられるわけではなく、発注者の保護を図るため必要な最小限度のものに限るとされています。また、建設業者にとっても不当な義務を課することとならないものでなかえればならないとされています。

営業所が確認できない

建設業法第29条の2

国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業者の営業所の所在地を確知できないとき、又は建設業者の所在(法人である場合においては、その役員の所在をいい、個人である場合においては、その支配人の所在を含むものとする。)を確知できないときは、官報又は当該都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該建設業者から申出がないときは、当該建設業者の許可を取り消すことができる。

建設業許可を受けるときに営業所調査が入るのでこれらに当てはまることはほぼないと思います。事務所移転したらしっかりと変更届を出すように気を付けてください。

建設業許可取消しは不利益ばかり

いかがでしたでしょうか?建設業許可が取消しになる10の理由として書いてみました。特に経営業務の管理責任者と専任技術者が居なくなるということは起こり得ることかもしれません。その為には、後の人材も育てておく必要があります。また、最大のデメリットは5年間新たに建設業許可の取得が出来ませんので、廃業届を出して、取消し処分にならないようにしなければなりません。

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