専任技術者になる為の実務経験について

専技の実務経験

実務経験で専任技術者になるには

建設業許可を取るには「専任技術者」(以後、専技という)が必要ですが、この専技というのは証明して初めてなれるものになります。

「はい!私が専技になります!」と言ってもなれないので、下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 許可を受ける工事の実務経験10年以上ある
  2. 許可を受ける国家資格がある
  3. 許可を受ける学科卒業+実務経験がある(高卒5年、大卒3年)

つまり、現在においてやれることは「実務経験を積む」ことか「資格を取得」するかしか専技になれることは出来ません。それか上の要件を満たす人を雇用するというのも一つの手となります。

実務経験の定義

特段難しく考えなくてもいいですが、許可を受ける業種について工事の実務経験があるかどうかということです。あくまでも常勤で実務経験の証明が必要なので「応援」「人工出し」のような経験が認められることはないと思います。

実務経験の計算方法

上に記載通り実務経験は人により3年~10年と様々になりますが期間の重複はできません。例えば、10年の実務経験を証明しようと、2011年から2020年に「内装工事」と「塗装工事」の実務経験があったとしても、どちらかの専任技術者にしかなることはできません。

内装も塗装も実務経験だけでほしいということであれば合計20年の実務経験を積む必要があるということです。また「当時の常勤を証明」する必要がありますので、アルバイトのような期間は実務経験として証明ができません。

後述しますが、必要書類として福岡県知事許可では契約書等を1年に1枚ださなければなりません。つまり、2011年12月の契約書と2020年の1月の契約書でも一応はOK(2012年から2019年それぞれ一枚は必要)ということになります。

ただし、そのような期間で提出すると実質的に9年2ヶ月の証明しかできていないことになります。私の経験上追加資料を求められたことはまだないですが、もしかしたら最新のものも出してくれと言われる可能性もあるかもしれないので注意しましょう。

実務経験の必要書類

実務経験を証明するためには、契約書等+当時の常勤を証明する書類を提出することになります。独立した後の10年の証明であれば「自己証明」になるので手元に全て資料があると思うのですが、前勤務先に証明してもらうとなると、ちと手間がかかります。

また、契約書等の内容ですが、契約書等で工事内容が分かるようなものでなければなりません。「◯◯内装仕上工事」とか「◯◯足場工事」などです。たまに「3月請負工事」など期日のみ記載した請求書の場合がありますが、その場合は実務経験の証明書類にはなりません。また、見積書では証明になりません。

当時の常勤を証明する書類とは色々ありますが、私は「健康保険証のコピー」か「被保険者記録照会回答票」のいずれかを提出しております。健康保険証の場合は資格取得年月日を見て当時常勤していることが証明できるかをチェックしてくださいね。

個人事業主での経験

被保険者記録照会回答票を取得すれば分かるのですが

厚年 ◯◯株式会社 H2,◯,◯~H28,◯,◯

厚年 △△株式会社 H28,◯,◯~R5,◯,◯

国年 国民年金 R5,◯,◯~

このような記載があり何年何月から何年何月までどこの会社で働いていたかというのが分かります。しかし、4人以下の個人事業主の元で働けば厚生年金に入っていないでしょうから国民年金と記載され、どこで働いていたかの証明ができません。

でも、安心してください。

役所は書類に法人名が記載なくても、当時、個人事業主の元で従業員として働いてた者として認めてくれます。逆に記載がないからこそ個人事業主なんだという判断をしてくれるということです。

よくある実務経験の注意点

どの業種でも実務経験があれば専任技術者になれるということではありません。

  • 解体工事
  • 電気工事
  • 消防施設工事

この3つの工事については注意が必要です。まず解体工事ですが「解体工事登録または建設業許可の解体工事」をしておかなければ実務経験として認められません。建設業許可もない解体工事登録も行っていない業者での経験は実務経験にはなりません。すぐに許可がほしい人は専任技術者の要件を満たす人間を雇用するか、資格を取るかになります。

次に電気工事も同じようなもので電気工事登録をしておかなければ実務経験として認められません。そもそも電気工事登録をするにも、二種であれば3年以上の経験、一種であれば資格のみで登録することができます。この要件は建設業許可も同様です。では、二種の電気工事しかもってなくて、実務経験がない場合はどうすればいいのでしょうか?結論をいうと「詰み」ですね。一種を取るか、どっかの電気工事のサラリーマンになるしかないということです。

最後に消防施設工事ですが「甲種消防設備士」か「乙種消防設備士」の資格が必要になります。これは、電気工事とは違いどちらとも実務経験不要で資格のみで専技になれます。ちなみに実務経験は99%認められることはないので資格が必須となります。

私はお客さんから「◯◯のとこは解体工事登録も許可も持ってないけど解体工事をやってるよ」とよく聞きますが、許可を取るためには合法的な工事のみしか経験として認められませんので注意してください。

建設業許可業者で専技をしていた

福岡県知事許可業者での経験に限りますが建設業許可業者で専技をしていれば書類を簡素化できます。

  • 当時の許可書
  • 当時の様式8号
  • 当時の様式9号

以上の三書面で実務経験を証明することができます。

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