熱絶縁工事業で建設業許可を取得しよう

熱絶縁工事業

熱絶縁工事業の建設業許可を取るには

500万円以上の「熱絶縁工事」を請け負うには建設業許可を取得しなければなりません。建設業許可を取る為に最も重要な要件は「ヒト・モノ・カネ」になりますここでは、許可取得に必要なポイント7つを説明していきたいと思います。

熱絶縁工事の内容とは

熱絶縁工事とは次のような工事内容になります。

  • 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事

具体的には以下の通りになります。

  • 冷暖房設備
  • 冷凍冷蔵設備
  • 動力設備又は燃料工業
  • 化学工業等の設備の熱絶縁工事
  • ウレタン吹付け断熱工事

熱絶縁工事の許可要件

さて、熱絶縁工事の工事業に含まれることを理解したら後は要件が整っているかどうかの確認をしましょう。重要な要件は大きく7つに分類されます。

経営業務の管理責任者の常駐

経営業務の管理責任者(以後、経管という)の配置が必須になってきます。「さて、これから死ぬ気で働くぞ」と言ってなれる訳ではなく、一定の経験を積まなければなりません。その要件は以下のいずれか該当しなければなりません。

  1. 建設業の経管を5年以上経験している
  2. 建設業に関し5年以上経管に準ずる地位の経験
  3. 建設業に関し 6 年以上経管に準ずる地位にある者として経管を補佐する業務に従事した経験を有する者

1~3のいずれかの要件をクリアする人がいる場合は、法人であれば常勤の役員に配置し、個人であれば本人または支配人がなることになります。令和2年10月1日以降に施工規則が変わったので若干の緩和がされました。また、以下の要件でも経管になることが出来ます。

  1. 常勤役員等のうち 1 人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における 5 年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれに置くものであること。

(1)建設業に関し、2 年以上役員等としての経験を有し、かつ、5 年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者

(2)5 年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2 年以上役員等としての経験を有する者

少し分かりにくいですが(1)に関しては建設業に関し2年以上の役員などの経験と残り3年の経験は建設業に関し常勤役員等に次ぐ役職上にあったもので可となります。その確認は組織図などで確認することになります。(2)においては、建設業に関し2年以上の役員等としての経験と建設業以外で3年以上役員等の経験が要件となっています。

経管の疎明資料

(個人事業主の経験を証明する場合)

  • 確定申告書の写し(5年分)
  • 契約書等の写し(各年1枚、計5枚)

確定申告書と契約書等で証明していきます。確定申告書により個人事業主と営業していることが分かり、契約書等で工事を請け負ったということを証明していきます。これらで注意する点としては確定申告書に給与所得がないことが必要です。給与所得があるということは他の事業者で雇われていたことになります。額にもよりますが、給与所得があっても県庁と話し合い認められたというケースもあります。

(法人役員の経験を証明する場合)

  • 法人税、消費税申告書の写し
  • 契約書等の写し(各年1枚、計5枚)
  • 商業登記簿

これらも個人事業主と証明するのと同じようなものなので説明は省きますが、登記簿が必要になります。会社の取締役だったかどうかを証明するので当然に必要なことは分かると思います。

付け加えると、契約書等とは請求書や注文書でも構いませんということです。

(許可業者での経験)

  • 直近の許可書の写し
  • 営業の沿革の写し
  • 商業登記簿(法人役員の経験の場合のみ)
  • 必要に応じて当時の様式7号の写し

建設業許可業者にて経管の経験があるということは、必然的に経管の要件が整っているということですね。なので、比較的に集めやすい書類にて証明することができます。

経管の常勤性を証明
  • 協会けんぽ又は土健保の場合は保険証の写し
  • 後期高齢者の場合は、保険証+出勤簿の写し+賃金台帳の写し
  • その他の場合は、国保の写し+出勤簿の写し+賃金台帳の写し

出勤簿の写しと賃金台帳の写しは事業主と代表取締役の方は免除されます。

専任技術者の常駐

専任技術者(以後、専技という)の配置も必須となってきます。経管と同じように「一生懸命」でなれるものではありませんので一定の経験や資格が必要になってきます。その要件は以下のいずれかに該当しなければなりません。

  1. 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科を卒業し、大卒・専門校卒業の場合は熱絶縁工事業の実務経験を3年以上の経験、高卒の場合は5年以上の経験
  2. 熱絶縁工事業の経験を10年以上
  3. 国土交通大臣が1又は2に掲げる同等以上の知識及び技術を有すると認定した場合

3について分かりにくいかもしれませんが要するに一定の資格を持っていれば無条件に専技になれるということです。以下、熱絶縁工事業の専技になれる国家資格になります。

  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 熱絶縁施工(2級の場合は3年以上の実務経験が必要)

専技の疎明資料

(学校+実務経験)

  • 卒業証明書又は卒業証書(卒業証書の場合は写しを提出し、原本は提示)
  • 契約書等(各年1枚、計5枚又は3枚)
  • 被保険者記録照会回答票

(実務経験)

  • 契約書等(各年1枚、計10枚)
  • 被保険者記録照会回答票

(資格)

  • 資格証等の提示(写しを提出)

契約書等ですが、経管と比べて厳しく見られます。何故なら、経管は建設業の請負工事をしていればいいのですが、専技は建設業の請負工事をしてかつ許可を取ろうとする業種でなければならないからです。契約書等から内装工事や管工事といった工事業種が判断つかなければならないのです。また、建築工事などは普通は工事施工金額がそこそこ大きいものになると思います。あまりにも低価格帯であると本当に建築工事をしたのか?との疑義がかけられる場合があります。

専技の常勤性を証明
  • 協会けんぽ又は土健保の場合は保険証の写し
  • 後期高齢者の場合は、保険証+出勤簿の写し+賃金台帳の写し
  • その他の場合は、国保の写し+出勤簿の写し+賃金台帳の写し

出勤簿の写しと賃金台帳の写しは事業主と代表取締役の方は免除されます。

財産的基礎を有すること

500万円以上を調達できるという事を証明しなければなりません。以下のいずれかに該当する必要があります。

  1. 自己資本額が500万円以上であること
  2. 500万円以上資金調達する能力があること
  3. 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること

財産要件の疎明資料

  • 500万円以上の残高証明書又は融資証明書

この残高証明書について気をつけておかなければならない事は1ヶ月しか証明期間が設けられていないということです。たまたま工事の売上が入るときに500万円以上になったとし、その時に残高証明書をとっても申請を1ヶ月以内にしなければなりません。それを過ぎてしまうと、また残高証明書を取らなければならないので、建設業許可が取れないという原因にもなります。

誠実性

  • 不正な行為とは、請負契約の締結又は履行の際に詐欺、脅迫、横領等法律に違反する行為をいい、不誠実な行為とは、工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為
  • 建築士法、宅地建物取引業法等で不正又は不誠実な行為を行ったことにより免許の取消し処分を受け、その最終処分の日から5年経過しないものなどは誠実性のないものとされます。

私の経験上これらに該当することはめったにないとは思いますが、頭の片隅に入れとかないといけません。また、これらの誠実性を証明することまでは必要とされていませんので必要書類などはございません。

欠格要件に該当しないこと

第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。

一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

 

二 第二十九条第一項第七号又は第八号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者

 

三 第二十九条第一項第七号又は第八号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分があつた日又は処分をしないことの決定があつた日までの間に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から五年を経過しないもの

 

四 前号に規定する期間内に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの

 

五 第二十八条第三項又は第五項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

 

六 許可を受けようとする建設業について第二十九条の四の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者

 

七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

 

八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条(傷害罪)、第二百六条(現場助勢)、第二百八条(暴行罪)、第二百八条の二(凶器準備集合及び結集)、第二百二十二条(脅迫)若しくは第二百四十七条(背任)の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

 

九 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十四号において「暴力団員等」という。)

 

十 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

 

十一 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの

 

十二 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの

 

十三 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの

 

十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者

以上が建設業法8条に定められています。

これらの欠格要件に該当するということは過去になかったですが意外と見落としがちです。禁固刑になった方は覚えているでしょうが、罰金などがある場合は何の法律で罰せられたのかを把握する必要があります。暴力などで罰金刑になっていたらいけません。これらに該当してはいけない者は以下の方です。

  • 個人であれば代表者及び支配人
  • 株式会社又は有限会社の取締役
  • 指名委員会等設置会社の執行役
  • 持分会社の業務を執行する社員
  • 法人格のある各種の組合等の理事等
  • 相談役、顧問
  • 総株主の議決権の100分の5以上を有する株主、出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者
  • その他、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等と同等以上の支配力を有するものと認められる者

保険に加入していること

社会保険及び雇用保険の加入義務が必要な事業者は入らなければ許可は受けれません。加入義務のある事業者は下記のとおりです。

(個人事業主の場合)

  • 常時使用の従業員が5人以上いる場合は社会保険加入義務がある
  • 一人でも従業員を雇用するなら雇用保険加入義務がある

(法人の場合)

  • 従業員を一人でも雇用するなら社会保険も雇用保険も加入義務がある
  • 従業員が一人もいない場合でも社会保険の加入義務がある

基本的に社会保険とは健康保険と厚生年金の事を言い、雇用保険はいわゆる労働保険のことで、労災保険にも入らなければなりません。社会保険は年金事務所で手続きをすることになり、労働保険はハローワークで手続きすることになります。雇用保険だけ入りたいですと言っても労災保険にも入らなければならないですよと言われます。

保険加入の疎明資料

(社会保険)

  • 保険料納入告知額、領収済み額通知書の写し

(雇用保険)

  • 労働保険概算申告書の写し
  • 労働局発行の労働保険料納付証明書

のいずれか。

営業所があること

建設業を営業するためには当然に営業所がなければなりません。

普通に事務所として借りている場合は問題ないのですが、自宅兼事務所として借りている場合は生活環境を通らずに相談室に入れることが要件です。また、自宅兼事務所の場合は居住用として借りている可能性が高く事務所としての利用を目的としていません。その場合はオーナーから使用承諾書をもらう必要性が出てくるかもしれません。

ただ、令和4年3月から事務所調査がなくなりました。事務所調査時にこの使用承諾書なり賃貸契約書なりを提出しなければならなかったのですが、それがなくなったので実際問題どうなのか分かりません。ただ、事務所調査がなくなったとはいえ怪しいと思われれば調査は入ります。やはり、今まで通り適正に営業所もしておく必要があるでしょう。

営業所の疎明資料

  • 写真(外観、出入り口、看板、内装)

付け加えると、内装の写真を撮る時に必ず電話機がなければなりません。携帯でよさそうですが、固定電話がないとダメと言われるので固定電話を置く必要があります。

熱絶縁工事の建設業許可取得の費用

証紙代 行政書士費用 総合計(税込)
費 用 90,000円 110,000円 200,000円

※その他に、登記されていないことの証明書など(数百円程度)についての実費は別途請求になります。

熱絶縁工事許可取得までの期間

面談 1日
書類作成及び収集 1日~1週間
申請 1日
合計 1週間~2週間程度

※急ぎの方はすぐに対応しますのでお問い合わせ時に報告下さい。

まとめ

今回は、熱絶縁工事業で建設業許可を取得するケースを書いていきました。専技においては実務経験で証明する場合は過去10年以上前の契約書などが必要になってきます。必ずしも契約書だけで証明する必要はありませんので、行政書士に相談するのがいいでしょう。

熱絶縁工事業の許可を取りたいと考えている方は直接行政書士が対応しますので弊所にご相談下さい。

ご相談について~初回相談料無料~

弊所では、かなりの問い合わせを頂き許可取得実績があります。

  • 許可を取るためにはどうしたらいいか?
  • 今の状況で建設業許可がとれるのか?
  • 元請けさんから許可を取るように言われた
  • 早く許可を取りたい

などといった問題に速やかに対応させて頂きます。まずは、お電話にてどのような状況なのかを説明頂き、具体的にどうしたらいいのかということを直接面談時に説明致します。面談時には必要書類など一式をチェックリストにまとめた書面をお渡ししております。また、有資格者である行政書士が直接相談に乗ります。

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