建設業許可の個人事業主から法人成りへの注意点

法人成り

建設業者が個人事業主から法人化するパターンは2つあります。
①法人で許可を取り直す
②法人に許可を譲渡する

以上の2つのケースです。よくネット上では「個人事業主で取った建設業許可を法人に引き継ぐことは出来ない」と書いていますが、あれは真っ赤なウソです。まあ、真っ赤なウソというのはあんまりですが、法改正が行われ可能になりました。

 

①②のパターンでも注意する点など多いですのでこれから解説してきます。ただ、これらの内容は福岡県知事許可のみの話になります。

法人で許可を取り直す場合

個人事業主時代に取得した建設業許可を廃業し法人で新規に取り直すというケースです。これは昔からある手法で、古い記事にはこの方法しかのっていない場合もあります。

実務上は「廃業届」と「新規申請書類」を同時に持って行き同時に申請します。

ただ、ご存じだとは思いますが建設業許可を取るには審査が2カ月くらいかかりますので、廃業届を出して法人に許可が下りるこの2カ月は無許可期間となるのがデメリットです。

よくある疑問として法人の新規申請書類を先に出して許可が下りたのちに、個人の廃業届を出せばいいという考えを持つ方もいますがそれは不可能です。

また、新規申請と同じですのでいわゆる役所手数料9万円もかかりますので痛い出費となります。

法人に許可を譲渡する場合

「法人で許可を取り直す」のとは違い、無許可期間が生じずと役所手数料9万円が必要ありません。

いいことずくめ!と思うかもしれませんが手続きが書類内容等が複雑でハッキリ言って面倒です。

この方法は「建設業許可を個人から法人に変更する」と言うとイメージは持ちやすいですが、内容的には「個人事業主としてきた建設業務全てを法人へ譲渡する」という事業譲渡と言われるものです。つまり、行政へ建設業全てを事業譲渡するから認可してくれという手続きになります。認可前に事業譲渡を行ってしまうと認可が下りることはありません。

認可申請の注意点

個人事業主から法人成りに関する認可申請にはいくつか注意点があります。

 

1.法人成り後も許可要件を満たしている必要がある

これは当然ですが許可要件は満たしておく必要があります。

ここでは詳しく説明しませんが、経管、専技、経営的基礎、事務所、など新規申請時と同じように全て証明しなければなりません。

 

2.譲渡前に申請する

上にもチラっと書きましたがこの通りです。

あらかじめ申請する必要があります。

 

3.建設業全てを法人に譲渡する

基本的に個人事業主が法人成りする方がここを見ている人が多いと思うので大丈夫だとは思います。

例えば内装業と塗装業をやっていた個人事業主が法人には内装業しか譲渡しないとなると認可は下りません。

また、個人事業主として決算変更届を出しておらず法人へ譲渡する場合は、法人として決算変更届を出さなければならないのはもちろん、個人事業主時代の決算変更届の提出も必要となります。

 

4.譲渡日の2か月以上前に担当官と打ち合わせをする

認可が下りるまで2カ月はかかりますので、譲渡日から2カ月以上前に担当官に申し出て、打ち合わせ、申請まで行わなければなりません。

 

5.代表取締役はできるだけ二人置く

絶対条件ではありませんが原則は二人代表取締役を置くようにしましょう。

認可が下りて譲渡日が過ぎれば片方(経管ではないほう)は解任しても構いません。

つまり、経管は常勤性がなければなりませんので、一人代表取締役の場合は口座開設やその他の手続きで事務所に現実的に常勤できないでしょ?それは建設業法的におかしくなるでしょ?だから、経管になる方ではない代表取締役が事務手続き的なことはやってね!ということです。

もし、代表取締役を二人置くことができない場合は、認可申請時に廃業届を同時に出すことになります。

 

6.保険等の手続きは受理後にする

保険等の手続きも認可申請の受理後に行う必要があります。

社会保険等の手続きを先にしてしまうと個人事業主の経管や専技の常勤性がおかしくなってしまいます。(福岡県の場合は社会保険で常勤性を確認するので)

逆に譲渡日以降は社会保険に加入しておかなければおかしいので、受理→社会保険の加入手続き→譲渡日となる必要があるのです。

個人事業主の建設業許可引き継ぎ方法

まとめ

法人成りもいろいろと複雑ですのでプロに任せた方がいいと思います。

ただ、プロに任せる場合でも事前準備が入念に必要なため会社を設立する前に相談する必要があります。

福岡県にて法人成りをして許可を引き継ぎたいかたは弊所にご相談ください。

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